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テクスト 名前のかたち 2

すべてに名前があった。小さな名前も大きな名前も、あらゆるかたちと溶けあい、いまに先立っていた。 それらを理解することと信じることとはまったく別で、そしてなにをどう信じるかは、いかなる知識とも、可能性の問題とも関係がなかった。この場所は像や体系としてではなく、活動としてあるのだ。 不安と確信の入り混じった熱のなかで、ものの輪郭を飲み込み、はじまりの顔を探す。名づけえぬものを遇し、かたちに放り投げられる。 骨だけでは踊れない。血と肉で笑え。

テクスト 名前のかたち 1

私には名前がない。名のないかたちである。いろんな場所に腕を突っ込んでは、手触りを探っている。 ある場所で腕を奥まで入れたら、そこを撫でる指先に音が触れた。音は響いて声になる。 声に耳を澄ますとき、かたちの輪郭はゆるみ、ふたつは溶け合ってほほえむ。 その白い場所で、私たちは名付け得ぬものに新しい名を与える。 新しい名前はまだ自分のかたちを知らない。それを知るために、音のするほうへ歩き出す。

テクスト 左手と右手

ずっと写真に手を突っ込みたいと願っていた。しかしいつもその表面に弾かれてきた。 ところが他人の手はすんなり写真に収まった。 写真のなかで手は触れ、掴み、示す。欲望のままに。だがその欲望は所有しないという仕方でしか機能しない。 それを知ったとき、写真がはじまる。

テクスト 「真空の空」

真空が頭上を覆っている。真空には何もないが、真空自身が満ちている。そこには原理も主張もない。たとえ原理や主張がなくても、透明で確かな密度をもつ空が、とにかくそこにある。私たちの空は、そんなあり方をしている。 写真はそんな空の下でゆらいでいる。原基と結果を同時に孕みつつ、欲望している。それらがもとは一つであった場所を探しながら。

Harmonic Rainbow

Each photograph has various powers which flow into different places. The beauty of light,The sense of touch,The presence of people.

Vacuum Sky

Vacuum is covering the sky over. Vacuum has nothing. It’s filled with itself. No theory, no argument exists. Our sky

Faces of Mirror

A mirror exists not only as an object but as an entity. The mirror reacts with light to form a reflection on

テクスト 「倍音の虹」

一枚の写真がその中に孕む様々な力は、決して単一の方向を指しはしない。光の美しさ、事物の存在感、人々のありよう。その一つ一つが独自のベクトルをもっている。そしてそれぞれのベクトルの差異の中で、私達は呼吸をする。この場所で私達は、身に沁みて感じる。静止したシステムの脆さを。世界が”テーマ”におさまらないことを。そして写真が総括できないことを。  我々の目的は明らかな解答を導くことではない。純粋な世界の捉え方には”謎”が不在だからだ。なされるべきは、謎を謎のまま生きながらえさせること。そのために私達は、写真とともにあって、対話を続けてゆく。  風景写真は、はじまりとしての謎を湛えつつ、我々に開かれている。