なかなか丸一日頭を空っぽにして写真を撮りに行くという機会が作れず苛立ちが募るこのごろ。ふとあいた時間に吸い込まれ玄関を出た。快晴ではないが、曇ってもいない日で、とりあえず何かは撮れるだろうと撮影に赴く土地に迷うととりあえず横須賀に行く。というのは山と海が近いからで、めくらめっぽうに歩き回っても体が喜ぶ土地だからだ。
追浜は何度目だろう。毎回「来たな」と思い海の方へ向かう。毎回駅員に海側へのバスを尋ね、毎回乗り場をやり過ごす。そしてここなら、という場所では撮らず。メインで使っているフィルムの感度が12と低いこともあるが、この頃は一つのものを捉えようとしている。新しい葉が上に伸びる。蔓がうごねる。蜂が羽を震わせて留む。それをいちいち撮った。