風景の中で、言葉が呼吸をしている。
言葉はただ、呼吸を繰り返し、そのリズムに従っている。
そしていつしかそれを忘れて、リズムそのものになった時、言葉は消え、歌になる。
風景の中で、歌が歌を歌っている。
歌は
存在を吸い上げ、
時間を織り込み、
空間を重ねあわせることで、
知っているものと知らないものとを繋げてゆく。
だが、ふと呼吸のリズムを思い出した時、
白が底なく白く映えて、思わず笑ってしまう。歌が沈黙に満ちていたからだ。
満たされないということに同意してはじめて、目が見えるようになるというのに。