今期のリフレクション展が面白そうだとの噂を聞き、少し前に新宿でミーティングに参加した。以前から風通しのいい身体性が気になっていた田山湖雪、初めて見た由良環の中立的な触覚性、阿部明子の外連味のないやるせなさ、どの作品も非常に興味深く、湊さん今回はかなりいい人選だなと感じた。
阿部さんが個々の作家を結ぐ立場にまわったことで、ただでさえうまく働いていた相互作用が加速した印象。11月の展示が楽しみだ。
そこで榎本千賀子の作品を久しぶりに見た。過去の作品もキレがあって好きだったのだけど、新潟を撮ったカラーの小品にはそこはかとない自由が写っていて、近日開催されるという個展を新潟まで見に行くことにした。
たまたま上京中の尾高君と高速バスに同乗し、延々5時間を写真のこと、ギャラリーのことについて語り詰める。思いに反して日差しが冴える新潟市内のホテルへ投宿してすぐ新潟絵屋へ。
小ぶりな展示ではあったけど、彼女がいまできることが過不足なく壁に収まっていて見飽きない。湊さんをはじめとしたリフレクションのメンバーと合流し、絵屋/砂丘館の大倉さん、新潟大学の原田さんらと痛飲。曖昧な記憶の中で湊さんのケツを蹴り上げる。
飲みすぎて感情の抑制が効かなくなり、笑ったり泣いたりしながら眠る。酒臭い息を吐いてはいたが、噓はない。
翌日。休館中の砂丘館を大倉さんに案内していただき、二日酔いの視線を庭に落とした時、旅はいい、と思う。自分がいま、どんな視線でもって事物を眺めているかはっきりするから。その時分かったのは、特別なものを探すのでなく、そこらにあるものに本意気で立ち会うべきだということ。日々のまどろみと覚醒を束ね、かたちにすることだった。
三々五々皆と別れ、名古屋まで7時間のバスをまどろむ。入梅の名鉄は雨の匂い。人や風景に触れる喜びに満ちた道行きだった。