今回の個展 ”Dance with Blanks” 制作時から意識につきまとっていた「空白」について思いを巡らせる中で出会った、仏教の「空」概念を中心に、空連坊の谷口さんと往復書簡という形で対話しました。谷口さんは仏教の専門家であると同時に、その体を世界に貸し与えるように写真を生み出す先達でもあり、気づきの多い経験でした。写真制作における意識や身体のありようについて、多角的に考えるいい機会になるはずです、ぜひご一読ください。
実作者の本音を言えば、写真や自分自身について何事かを語るのは、どこかしら分裂を抱えるような作業なので、毎回身をよじるほど苦悶してしまいます。締め切り間際にようやく「どんなに拙くても自分の言葉で語るしかないのだ」と開き直って、なるべく率直に、我が身に引きつけた言葉を選んでゆくしかないのだけど。
私の暴投を手際良くキャッチして、毎回球種を変えながら胸元へ返球してくださった谷口さん、そして手業に気づかせない一流の料理人のような、見事な包丁捌きをしてくださった高橋さん、ヒントンさんに感謝します。ありがとうございました。