たとえ世界が単なる像や触感に過ぎないとしても、私たちは一つ一つの現実について、そこに宿った名前や意味が真実であるとして日々を生きている。
異国の歌を憶えること。遠くの山が三つの名を持つこと。飛ぶ鳥と空が交わること。
鏡を見るように、月を見ること。重力に触れること。葉脈と血管が繋がること。雪が白く燃えること。
名前や意味は、私たち一人一人の活動の内でその都度生起する。つまり私たちはいつも、新しい世界を創出する基点なのだ。そしてそこから生まれるもののなかで、世界にも私たち自身にも還元できないものが自由である。自由は、幸福とともにあることだろう。
空白と踊る。空白を踊れ。空白を満たすことなく。