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展示を見に都内へ出張った。柴田麻希は普通に上手いが、彼我の比重に迷いが見える。与えられたスタイルを捨てる勇気を示せば見えるものがあるか。環境の変化に期待したい。小野陽平の作品は軽く、事象へも、空間へも半端なアプローチしかできておらず、このクリティでニコンが獲れるのかと訝しんだ。両者ともに渡辺兼人の影響が強いが、自身の表現に昇華する意欲が薄いのだろうか。地肩は定まっているのだから、定型文と承認欲求から離れてほしい。自分を忘れることほど創造的な機運はないのだから。
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毎度の酷い選挙結果にゲンナリしてしまうが、醜さと相対する状況でこそ芸術家の真価が問われる。大勢に背を。
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普段ひとの作品を撮ることはほとんどないのだけど、制作とはこうあらねばならないという縛りは、緩めたり引き締めたりを繰り返すもの。今は少しずつ緩めながら進んでいきたい。
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普段は6×7に100mmの標準レンズを常用しているのだが、数ヶ月前にふと思い立って新しいレンズを導入してみた。35換算で20mmほどと、超広角と言ってもいいほどの画角で、体に染み付いた被写体との距離感が全く役に立たない。そもそも断片を切り取ることが難しく、手持ちの方法論の更新を迫られている。数年に一度、居着いた視覚に揺さぶりをかけるためにフォーマットを変えたり長玉に手を出したりはしてきたが、ここまで広い画角を試すのは初めて。気持ちよく撮れてしまう28〜40mmあたりでは味わえないひどく扱いづらい焦点距離だけに、実験する価値はありそうだ。