展示や写真集が生まれる周期はおおよそフィルム500本。5000カットを超えたあたりで作品同士が神経回路の結合のように自然と繋がり始める。それは、水平方向に広がる時間や空間に対し、垂直方向に楔を打ち込む。ミルフィーユ状に重なりあって形成された写真の地層に亀裂が走るような感覚だ。断層は撮影の過程で思い描いたのとは異なる角度を、思いがけない深度まで走る。すると過去には見出されず埋もれていた作品が化石のように顔を出す。思わぬ収穫に小躍りしてしまう。今回も強度と速度を兼ね備えた神経回路が生まれそうだ。作家の意向よりも、写真自身が互いの相互作用のうちから写真空間を展開するというのが自論だが今回もそれを地で行っている。